【経営者インタビュー】株式会社 インテリジェント・サイエンス 代表取締役 小林 道男 氏

30年にわたってシステム開発を行い、リーマンショックを乗り越えた今では非常に安定した経営をされている株式会社インテリジェント・サイエンス
今回は代表の小林道男社長に安定経営・黒字存続の秘訣を伺いました。

インテリジェントサイエンス様がどのような事業をされているか教えてください

弊社はシステム開発の会社で、中でもソフト開発を主に行っています。

事業としては大きく分けて2つあり、ヘルスケアソリューション(医療関係のシステム開発)が会社の仕事の3割を占めており、あとの7割の仕事がビジネスソリューション(業務系システム開発)となっています。

株式会社インテリジェント・サイエンス 代表取締役 小林 道男

ヘルスケアソリューション

ヘルスケアソリューションについては電子カルテに近い部門システムの開発保守と導入支援を行っており、開発・カスタマイズ・保守と、大規模病院に対するパッケージの導入支援まで一貫して携わっています。

現在では単純な開発だけではなく、この導入支援にも力を入れています。
弊社の技術者が直接病院に赴いて、病院の技師さんや先生達とお話させていただくため、現場の実情がしっかり把握できるというメリットがあります。
開発部門と導入支援部門をしっかりと連携させることで、会社としての強みとして育てていきたいと考えています。

ビジネスソリューション

ビジネスソリューションにつきましては、主に大手システムインテグレーター様からの案件を受託しています。
比較的規模の大きい案件から小規模の案件まで、自社での開発とチームで客先に赴いての開発を使い分けて柔軟に対応しています。

面白いもので、受託開発している時には、開発者は外部で作業するのを嫌がるのですが、一旦外部に出ると、今度は帰ってくるのを嫌がる傾向にあります。
一か所に落ち着いて一つの仕事に慣れていくことは、業務の安定に繋がる一方、それしかできない人材になってしまい、社員の成長という観点では厳しい面があります。
そこで、あえて人のシャッフルというものをやっていかないといけない、というのはここ最近強く感じている点です。

経営者になられた経緯について教えてください

弊社は1985年に設立したのですが、私はその時の設立4人のメンバーの1人でした。
当時私は23歳でしたが、その時から肩書としては取締役でしたが技術者として仕事をしながら経理から採用まで会社の業務全般に携わっていました。

ほどなくして創業メンバーのうちの2名が退社し、その後は長年前の社長と私の2名で経営を行い、2010年に前の社長から経営を任されました

インテリジェント・サイエンス エントランス

元々、私はどちらかというと表にでるタイプではなかったので、社内のプロジェクトの管理等全般行っていて、対外的な事は前社長に任せる、という役割分担が明確にできていました。

前社長とは2人で長年経営してきましたし、私の意見も日頃から取り入れてくれており、信頼をいただいていたと感じています。

元々私に経営を任せたいとの意向があったようですが、リーマンショック等の大きな経済・社会状況の変化により、社長への就任時期が想定より早まった面もあるのではないかと思います。

実際に社長に就任されてから気付いたこと

自分自身が社長になることで、やはり対外的な事や外の活動をしていなかったので、営業先はともかくとして、経営者としての人脈・ネットワークが出来ていなかったことを痛感しました。

例えばですが、加盟している振興会に行った際に、代表の立場になってから参加しても、前の社長(当時の会長)がその場にいれば、どうしても「その下」という風に見られてしまうので、いかに肩書が社長になったとしても、出来上がった人脈の中では「実質的なトップ」としては見られないのです。

そのような経験から、前の社長の人脈と私の人脈とでは違うため自分なりのネットワークというものを作っていかないといけない、と強く認識しました。

御社の強みを教えてください

弊社では開発力とそれを支える人材育成に力を入れております。

開発力と品質

創業以来受託開発をやってきたバックグラウンドがありますので、会社の中で案件を受けて最初の設計から最後の工程までワンストップで行え、その経験から品質、納期に対する意識も高い点は強みだと思っています。
現在では我々がクライアントの会社と連携して開発する事も多くなっています。

人材育成

また、エンジニアの人材育成には力を入れています。
採用は新卒中心に行っているのですが、採用時から4ヶ月間は研修期間とし、基礎からしっかりと教育するカリキュラムを組んでいます。
また、教育するという事は教える側の学びにもつながります。
新入社員と教育する側の社員が切磋琢磨することで、会社としての新陳代謝を起こす狙いもあります。

社員の育成について心がけている点はありますか

弊社は33年やってきて、会社の平均年齢が35歳ちょっとになり、10年~15年以上働いている方が半分以上ですので、20代前半で入ってきた方が30代~40代となっています。

今までの15年と次の15年では全く働く人たちの環境が変わってくると思います。
社員の人たちが年齢を重ねていった時、その人たちの年齢に合った仕事ができるよう、育てていくという点については、非常に危機感を持っています。

今までは、20代から一生懸命にやっていけば、30代までのキャリアの見通しが立てやすかったのですが、体力・気力の問題や、お客様との間の年齢の壁が大きくなることもあり、これから市場が変わっていく中で、この点は大きな課題といえます。

「自立した技術者」を育てる

会社の中で自分の強みで貢献できる、「自分はこの点では負けない」と言える、自立した技術者をいかに育てるか、については常に心がけている点です。

また、近年技術の変化が激しいため、今後は我々も今までに自分達で1から作るだけでなく、外部から様々なシステム持ってきて組み合わせる、といったことにも関心を持ち、柔軟な考えを持っていくことも必要だと考えています。

何か問題や課題が会った際、どのように解決されていますか

私が常に社員に言っていることですが、当事者意識を持って「我々に何ができるか」を考えています

困っている時やトラブルの時は、誰しも足を突っ込みたくないと思います。
契約範囲以外の事項であれば、それを理由に協力を断る事もできるでしょうけれど、そういった会社はやはり切られていってしまいます。

しかし、本当に困っている時に、大変な時に力を貸してくれる人・会社であれば、クライアントの技術者同士の連帯感も生まれるので、そういった粘り強い対応力の部分はやはり大切にしています。

社員にとっては大変な事だとは思いますが、結構分かってくれる社員もいるので、そういう会社にしていきたいと考えています。

経営者としての哲学についてお聞かせください

我々の会社は「システム開発を通じて社会に貢献する」という経営理念であり、本当の意味でお客様に貢献できるシステムを提供することが第一に考えている事です。

本当の意味でお客様に貢献する

例えばですが、小規模の会社にお伺いした時に、ほとんどの機能が使われていないシステムが高額で納入されていて、さらにOSのリニューアルの度に費用が発生しているという状況を目にすることがあります。

これは、軽自動車でよい所にスーパーカーが入っているようなもので、本当にお客様のやりたい事ができず、お客様にとってためになりません。

エンドユーザー向けに業務システムを検討する際、現場の方達が望んでいることは、今の仕事を変えず、システム化したいわけです。
一方、経営者は多額の投資をするため、投資に対する費用対効果を求めますので、我々はそういった経営者目線で考えていきたいと思っています。

このように、お客様に貢献する姿勢を継続することによって、社員にも誇りを持って仕事ができるようになってもらいたいと考えています。

利益を上げることの重要さ

また、私が代表になってから痛感したのが、「利益を上げることの重要さ」です。

ナンバー2でいる時は、会社の利益は黒字であれば問題ないと考えており、利益は決算処理で社員旅行等の経費等に遣い、内部留保は溜めなくても良いという意識でした。

しかし、リーマンショックの時に大変な経営危機を迎え、その時は我々の蓄え等で何とか取り切ったのですが、この経験から会社の存続のための利益の重要性を強く認識することになりました。

このような想定外の事が起きる事を考えれば、会社がきちんと利益を出して社内留保も持って危機に備えなければなりません

会社として利益を出すことに真摯に取り組み、社員に還元していく。
そういった仕組みをしっかり行っていかないと、社員とその家族の生活に対する責任を果たすことはできません。

本当の意味でのお客様のパートナーとは

さらに言えば、会社がうまくいっていないと良い仕事も受注できません。

私は経営理念に「お客様のパートナー」と書いているのですが、我々が下請けではなく本当に必要とされるような立場にならないと、お客様とのWin-Winの仕事になりません。

弊社も苦しい時期に下請けの仕事をさせられ、非常に大変な時期がありました。
その経験から、我々としてはお客様のできる事以上に我々ができるようになり、本当に必要とされる存在となる事が重要であり、そういった社員を育てていきたいと考えています。

経営者として必要な知識をどのように習得されましたか?

経営者になる前の時点では、会計の実務に携わっていたので、そこである程度はわかっており、知識については会社が回れば問題ない、という意識でした。

会社が厳しい時期を経て、多角的な知識の重要性や会社の方針を作ることの認識し、経営塾・セミナー・勉強会等に参加するようになり、そこでの知見を自分なりに取り入れていこうと意識しています。

成功している経営者の方達はちゃんとした哲学・考え方を持っていますので、その中から弊社なりに何かできることはないかを考える、吸収していく事が成長につながると考えています。

経営者は最終的には一人で決断しなければならない事も多々あります。
そういった時に、しっかりと自分の中での行動指針・軸をもって決断を下せるよう研鑽していくことが大切だと思います。

今後の展望についてお教えください

私の現在の大きな課題は、「次の10年を考える事」「事業承継」についてです。
これは、先ほどお話した、「弊社の社員をいかに成長させるか」と密接に関わっています。

本当の意味で今までやってきたことに囚われず、次に我々がやるべき事をもう一回リセットして考え直し、新しいメンバーと共に権限を徐々に委譲してやっていきたいと考えています。

現在は私がトップでその下にリーダークラスが横並びとなっており、経営幹部といえる人材が育っていませんので、社員の育成と並行して権限を持った経営幹部と共に今後の会社を創っていきたいです。

弊社では医療の案件が全体の3割程を占めているのですが、最近では、新卒の採用の際、医療のキーワードから来る方が非常に増えています。
医療の案件というのは地道で大変な面もあるのですが、興味を持って優秀な人達が入ってきますので、事業として拡大するなど、その人達の熱意に応えていきたいと思っています。

今の状況に甘んじるのではなく、次に対してリスクをかけて投資をして新しいことをやっていく、これまでとは違う顧客を開拓する、違う分野のシステム開発に挑戦していく、来る仕事だけでなく「やりたい仕事」を取りにいく。

これから社員と共にさらに成長することにより、そうしたチャレンジができる会社にしていきたいと考えています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
安定した経営状況にあっても慢心することなく未来を見据え、リスクを取ってチャレンジしていく姿勢は学ぶべきものがあると思います。

また、「利益の重要性」について強く言及されていたことも印象的です。
多くの社員を抱えながらリーマンショックの危機を乗り越えた経験から来る言葉には、非常に重みがあると感じました。

是非、皆様の会社でのチャレンジや利益について考えるヒントにしていただければと思います。

株式会社インテリジェント・サイエンス

中小企業経営者のための会社の数字無料セミナー随時開講中!

決算書を読み、経営分析するスキルは経営者にとって必須ですしかし、日々の業務・営業に忙しい経営者様の中には決算書を読むためのスキルを磨く時間が取れない方が多い事も事実です。
そんな経営者の方が数字に強くなる方法を、これまで1,000社以上のコンサルティングを行ってきたベテランコンサルタント高良高が無料セミナーにてお伝えいたします!